メタボリックシンドロームの肝臓における表現形とも言える病態が、非アルコール性脂肪性肝疾患であり、その中の重症病型が非アルコール性脂肪肝炎(Nonalcoholic steatohepatitis: NASH)である。一方で、アンジオポエチン様因子ファミリー分子(Angiopoietin like protein: Angptl)ファミリーの一員であるAngptl4は、主に肝臓と脂肪組織から分泌される蛋白質であるが、LPL活性を直接阻害し、血清TGレベルを上昇させる。また一方でインスリン抵抗性の改善作用も報告されている。このように、脂質代謝およびインスリン抵抗性の調節に関与し、肝臓より分泌されるAngptl4は、主に肝臓と脂肪組織から分泌される蛋白質であるが、LPL活性を直接阻害し、血清TGレベルを上昇させる。また一方でインスリン抵抗性の改善作用も報告されている。このように脂質代謝およびインスリン抵抗性の調節に関与し、肝臓より分泌されるAngpt14は、メタボリックシンドロームの治療標的にもなり得るが、同時にメタボリックシンドロームを背景因子とするNASHの病態にも深く関与することが予想され、それらの新たな治療戦略を考える上で注目すべきターゲットである。今回我々は、メチオニン・コリン欠損(methionine-choline deficient: MCD)食摂取によりマウスNASHモデルを作製し、肝臓におけるAngptl4発現を検討したが、マウスMCD食3週間給餌群でも、MCD食8週間給餌群でも、肝臓のAngptl4 mRNA発現は、コントロール群に比べ、有意に低下しており、NASH病態において、肝臓におけるAngptl4発現減少が、病態機序に関与する可能性が示唆された。また、ラットNASHモデルを作製し、実質細胞と非実質細胞とを分離することで、その各々の画分のAngptl4 mRNA発現を検討した。その結果、肝臓ではAngptl4 mRNAのほとんどは肝細胞に発現しており、現在NASH病態機序との相関を検討中である。
|