1) 膵星細胞は細胞外基質やケモカインを産生し、膵の線維化に重要な役割を果たす。一方、膵星細胞には網内皮系細胞にみられるような貪食作用があることが確認されている。本研究では、膵星細胞の貪食能が膵線維化に対してどのような役割を果たすかを解明する。 2) 膵癌は線維化が高度な腫瘍で、膵癌の悪性度と膵星細胞の活性化とは密接な関係があると考えられる。膵癌は膵管由来であるため膵炎の合併が高率におこり、膵腺房細胞傷害を来す。まず、膵星細胞が傷害膵腺房細胞を貪食することで、膵癌の進展にどのように影響するかを検討する。 3) 膵癌の進展抑制を膵星細胞との関係から検討する。膵星細胞の貪食能が膵癌の増殖、浸潤、遊走能などに促進的に作用するか、抑制的に作用するかを検討する。その結果からどのような分子が関与しているかを検討し、膵星細胞の貪食能を利用して膵癌を直接的あるいは間接的に抑制可能なアプローチ方法を検討する。
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