研究概要 |
(1)HCV感染患者および健常人の血清中のこれらのペプチドに対するIgG抗体の定量 HCV由来ペプチドを蛍光標識ビーズ上に固相化し、ルミネックス法により特異的lgGを定量する方法を確立し、少量の血清サンプルで一度に多数の抗原エピトープに対する抗体を網羅的に解析することが可能となった。さらに、抗HCVペプチド抗体の慢性C型肝炎、肝硬変、および肝癌患者における陽性率、および抗ペプチドIgG抗体の量的差異、また個々の患者における病体変化と抗ペプチド抗体の変動をレトロスペクティブに調べた。HCV-lbとの判別診断への応用の可能性を検討するとともに、ゲノタイプ特異性および疾患特異性も明らかにした。 (2)CTLにより認識される抗原エピトープの同定およびCTL誘導可能な抗原ペプチドの同定。HLA-A24,-A2,-A11,-A31,および-A33拘束性CTLにより認識される抗原エピトープの同定を行った。また、同定したCTLエピトープペプチドにより細胞傷害活性を有するCTLが誘導されるか否かを検討した。さらに、得られたCTLについて、特異性やHLA拘束性を明確にした。 (3)HCV由来の膜透過ペプチドの解析および免疫アジュバントへの応用。HIVのTat由来の膜透過ペプチドと同様のアルギニンに富んだ配列がHCVにも存在する。このペプチドの膜透過性を、COS-7細胞株を用いて、FITC標識した抗原ペプチドと未標識の膜透過性ペプチドの反応物を用いたフローサイトメトリーで証明した。
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