(1)Stearoy1-CoA desaturase-1(SCD1)過剰発現培養心筋細胞の作成とSCD1の心筋細胞での機能解析高ショ糖食ラットでは対照群に比較して、心臓でのSCD1-mRNAおよび蛋白の発現が有意に増加していた。また、新生児ラット培養心筋細胞にグルコース、インシュリンあるいは飽和脂肪酸を添加するとSCD1-mRNAの発現が誘導された。そこで、培養心筋細胞にアデノウィルス発現ベクターを用いてSCD-1を過剰発現させた心筋細胞を作成した。SCD-1過剰発現心筋細胞では脂肪酸代謝の低下と細胞内中性脂肪蓄積が認められた。以上より、内臓脂肪蓄積型肥満ではグルコースおよびインシュリンによって心臓でのSCD1発現が増加し、SCD1により心筋細胞の脂肪酸代謝低下と組胞内脂肪蓄積が促進さるものと考えられた。 (2)急性および慢性圧負荷心でのSuppressor of cytokine signal-3(SOCS-3)の発現解析 ラットの腹部大動脈狭窄による圧負荷心肥大モデルでは、負荷後1日目に心臓でSOCS-3mRNAの著明な発現亢進が認められたが、2日、4日とその発現は徐々に減弱し、2週および4週間後には対照群と比較して有意に発現が低下していた。また、培養心筋細胞をangiotensin IIあるいはレプチンで24時間刺激すると、SOCS-3mRNAの発現が誘導されるが、刺激を48、72時間と継続すると、時間依存的にその発現は低下した。以上より、急性負荷ではSOCS-3発現亢進によりnegative feedback機構が働くが、慢性負荷では逆にSOCS-3の作用は抑制されていると考えられた。
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