研究課題/領域番号 |
18590766
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
因田 恭也 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10359747)
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研究分担者 |
室原 豊明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90299503)
辻 幸臣 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (60432217)
前田 健吾 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80456673)
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キーワード | PRARγアゴニスト / 心房細動 / 心筋線維化 / 心不全 |
研究概要 |
心房細動の発生・維持には心房筋の線維化が深く関わっている。この線維化を抑制することにより心房細動を予防しうる。糖尿病治療薬でインシュリン抵抗性改善作用のあるPPARγアゴニスト(ピオグリタゾン)には抗炎症作用や抗酸化作用がある。平成18年度われわれはこの薬剤に心房細動抑制作用と心房筋繊維か抑制作用を有することを実証した。この機序を解明するために、われわれはウサギ心不全モデルを用い、ピオグリタゾンとアンギオテンシンIIレセプター拮抗薬(カンデサルタン)の効果を分子生物学的手法にて比較検討した。4週間の心室高頻度ペーシングによる心不全も出るでは心房筋の線維化が進行し、同時に心房組織内TGF-β1、TNF-α、MAPキナーゼの発現が、正常心房筋に比較し著明に増加していた。ピオグリタゾンやカンデサルタン投与により心房組織TGF-β1、TNF-α、MAPキナーゼの発現は、ペーシングのみで薬剤投与していないコントロールに比較して低下していた。両者の併用によってさらなる相乗効果を認めなかった。またp38やJNKはこれらの薬剤による変化を認めなかった。このことより、PPARγアゴニストがアンギオテンシンII依存性経路を抑制することにより、抗炎症作用、抗酸化作用を発揮し、心房筋線維化を抑制するものと予想された。この研究により、心房細動の新しい治療薬として、PPARγアゴニストであるピオグリタゾンが、臨床的にも有用である可能性が示唆され、今後難治性不整脈である心房細動治療に新たな選択枝がもたらされたと考えられた。
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