研究課題/領域番号 |
18590768
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
李 鍾國 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (60303608)
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研究分担者 |
日高 京子 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室長 (00216681)
井藤 彰 九州大学, 大学院・工学研究, 准教授 (60345915)
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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キーワード | 洞結節 / 心筋再生 / ナノ工学 / ペースメーカ / 磁性微粒子 |
研究概要 |
生体の洞結節組織はより効率的なペースメーカ電位を生み出すために、特徴的な構造を有している。本研究においては、磁性ナノ微粒子による心筋細胞配列のパターニング技術を用いて、機能的ペースメーカ組織の構築が可能かどうかを調べた。酸化鉄微粒子にNatural Killer Cell-1(NK-1)抗体を結合させた抗体結合型磁性微粒子を作成した。胎生期ラット由来の洞結節・刺激伝導系細胞を抗体結合型磁性微粒子で標識し、多電極付培養皿上に抗体結合型磁性微粒子陽性および陰性の心筋細胞をともに播種した。その際、底面に磁場を与え、細胞配列のパターニングを行った。細胞外表面電位を調べた。また、パターニングした培養シートを、新生仔ラット由来の培養心室筋細胞シート上に移植し、Ca感受性色素であるRhod-2を添加し、高速CCDカメラで興奮の生成と伝播の過程を観察した。 その結果、非パターニング群では最早期興奮部位が一定せず、興奮伝播様式もリエントリを示すなどして不安定な状態を示すものがあった。一方、パターニング群では、抗体結合型磁性微粒子標識細胞が集簇した部位から安定した速いレートの自己拍動と定方向の興奮伝播が観察された。また、あらかじめ培養してある新生仔期ラット心室由来の静止作業心筋細胞シートに、パターニング細胞シートを移植すると、作業心筋細胞に新たに自己拍動が生じた。興奮は、移植細胞シートと作業心筋シートの興奮はほぼ同期して興奮していることが認められた。これらの結果から、磁性微粒子標識による心筋細胞配列のパターニングは、機能的ペースメーカ組織の構築に有用な方法であることが示唆された。
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