研究課題/領域番号 |
18590775
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
久留 一郎 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60211504)
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研究分担者 |
二宮 治明 鳥取大学, 医学部, 教授 (80212124)
星川 淑子 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10181489)
三明 淳一朗 鳥取大学, 医学部, 助教 (40372677)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 熱ショック蛋白 / HSP70 / Kv1.5チャンネル / シャペロン誘導薬 / atrial fibrillation |
研究概要 |
[目的]心臓Kv1.5チャンネルは抗不整脈薬の標的分子として重要である。我々はKv1.5チャンネル蛋白の安定性に関与する熱ショック蛋白(HSP)の作用に関して検討した。[方法]我々はHSPのKv1.5チャンネル蛋白安定化作用を検討するためにCOS7細胞にKv1.5チャンネルと種々のHSPを安定的または一過性に発現させ、Western blot法、免疫沈降法、パルスチェイス法、ならびに免疫染色法とパッチクランプ法を組み合わせて検討した。[結果]安定発現系細胞ではHsp70とHSF-1はKv1.5チャンネル蛋白を増加させるが、Hsp40,27およびKv1.5チャンネル蛋白に影響しない。一過性発現系細胞ではHsp70はKv1.5チャンネル蛋白の半減期を延長することで蛋白を増加するが、Hsp90はその作用はない。免疫沈降法によりHsp70はKv1.5チャンネル蛋白に物理的に会合している。免疫染色法を用いた検討からHsp70を発現させると、Hsp70の過剰発現はKv1.5チャンネル蛋白の小胞体とゴルジ体での蓄積を起こし、結果的には細胞膜でKv1.5蛋白が増加してくる。さらにパッチクランプ法を用いるとHsp70の過剰発現はI_<Kur>電流の増加に繋がる。そこでHsp70の誘導剤であるゲラニールゲラニールアセトン(GGA)を低濃度作用させると、Hsp70の発現増加に伴って遺伝子導入したKv1.5蛋白の増加とその半減期の延長をならびにI_<Kur>電流が増加した。そこでラットの心房筋にGGAを処理することでHsp70の増加とKv1.5蛋白の増加を確認できた。[考察]本研究では心房細動の発生とその治療に重要なKv1.5チャンネル蛋白がHsp70の発現により安定化し増加することが培養細胞のみならず心房筋でも観察できた。この現象が人の心房細動治療に結びつくかに関しては明らかではないが、心房細動ではKv1.5チャンネル蛋白の減少が薬剤抵抗性の原因となる心房リモデリングという病態が明らかとなり、本研究でのGGAのHsp70誘導を介したKv1.5蛋白の増加はリモデリング治療の可能性を示唆する。
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