研究概要 |
申請者らはまず骨格筋でN-teminal, centralの2つのドメインが連関しチャネルを安定化しているという仮説を立てた(J. Biol. Chem, 2000,Biochemstry, 2002).その後申請者らは心筋においても同様のチャネル制御ドメインがチャネル安定化に重要な役割を果たしていることを示した(BBRC, 2002、 Circulation, 2005).ごく最近LiuらはRyRのcentral domainlとN-terminal domainが実際に3次元構造上非常に近くに位置することを示した(J. Biol. Chem, 2005).ARVD/CPVTにおける突然変異と同様、心不全時にもFKBPI2.6の解離がRyR内のチャネル制御ドメインの構造変化を引き起こしチャネルが不安定し致死的不整脈を誘発する可能性が高い。ARVD/CPVTあるいは心不全時に生じるRyRからの拡張期のCa2+leakはNCXのforward modeなどを介したNa+の内向き電流を生じる。このNa+の内向き電流が膜電位を浅くし、閾値レベルをこえると脱分極を生じる。以上のメカニズムからRyRの安定化は致死的不整脈の治療に関し、理にかなった治療ターゲットであると考えられる。我々はチャネル制御ドメインの連関障害を是正し、チャネルを強く安定化させるアミノ酸配列がRyR内に存在していることを発見した。このアミノ酸配列を治療ペプチドとして細胞内に導入することで、細胞内の異常なCa2+ホメオスターシスを正常化させうるという予備実験の結果を致死的不整脈の治療の面からさらに詳しく検討する。
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