研究課題/領域番号 |
18590786
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
中村 元行 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40172449)
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研究分担者 |
坂田 清美 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50225794)
小野田 敏行 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00254748)
吉田 雄樹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80254762)
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キーワード | B型ナトリウム利尿ペプチド / CRP / 前期高血圧 / 心不全 / 死亡 / 脳卒中 / 心筋梗塞 / 心房細動 |
研究概要 |
本研究の目的は、岩手県北地域コホート研究の平成14-16年度の参加者を対象として、本研究助成金を用いて平成18から19年度に予後(死亡・心血管事故・介護認定度・医療費)を追跡調査し、新規心血管リスクマーカー(血中B型ナトリウム利尿ペプチド濃度、高感度CRP値、尿中アルブミン値)が本邦人の死亡、心血管事故発症、介護認定度および医療コストの予測にどの程度役立つかを明らかにすることである。 二戸・久慈・宮古医療圏で平成14-16年度に基本健康診査を受けた地域住民で、本研究に参加同意を得た26,469名を対象として、平成18-19年度に理由を問わない死亡と心血管事故(心筋梗塞・突然死および心不全)の発症状態を調査した。その結果、平均追跡期間は2.7年でコホート中で死亡367名、急性心筋梗塞症・突然死78名、脳卒中449名、心不全発症68名(宮古地区は除く)を確認した。これらをエンドポイントとしてコホート参加時に測定した各種マーカーとの関連性を検討した。その結果、血中B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)濃度は、男女に関わらず新規心不全発症のマーカーとして有用であるが全死亡に関しては男性のみが関連することを明らかにした(心不全2007、2007年6月ドイツ・ハンブルグ市で発表:論文投稿中)。また、BNP濃度は脳卒中とくに新規脳梗塞発症との関連が男性で明らかであり、心房細動例を除外してもこの関連性は有意であった(欧州心臓学会2007、2007年9月ウイーンで発表:論文投稿中)。さらに、血清高感度CRP値は心筋梗塞と強い関連性はみられなかったが前期高血圧群をCRP値で2群に分けると男性においてCRP高値群は高血圧群と脳卒中発症リスクは同等であり、低値群は正常血圧群と同等のリスクであった(欧州心臓学会2007、2007年9月オーストリア・ウイーンで発表:論文投稿中)。以上より、新規心血管リスクマーカーとされるBNPは心不全のみならず脳卒中の発症予測に有用であり、高感度CRP値は、前期高血圧群の高リスク群の選別に有用であることを示した。
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