研究課題/領域番号 |
18590787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
錦見 俊雄 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (80291946)
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研究分担者 |
南野 直人 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 部長 (50124839)
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 副所長 (00112417)
松岡 博昭 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20111544)
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キーワード | アドレノメデュリン / 循環器疾患 / 予後予測因子 / 心不全 / ANP / 血行動態 / 酸化ストレス / アルドステロン |
研究概要 |
我々は血漿アドレノメデュリン(AM)濃度が種々の循環器疾患の重症度の指標となることを明らかにしてきた。本研究では種々の循環器疾患580名において血漿AM濃度ならびにほかの神経体液性因子や臨床指標を測定し、約10年間の年間追跡調査を行い、死亡率の予測因子となるか否かを検討した。90名が死亡し、死亡群ではAM濃度が生存群に比較して明らかに高かった。またAMが高いほど死亡率が高く、単変量解析ではAMや他の神経体液性因子(BNP、ノルエピネフリンなど)、腎機能、危険因子の存在が死亡と関係していたが、重回帰分析ではAMとBNPのみが有意に死亡率の増加と関係していた。このことは循環器疾患における血漿AM濃度測定の有用性を示すものと考えられた。 我々はAMの投与は急性投与、慢性投与ともに動物の心不全モデルで有用なことを示してきた。またヒト心不全においてもAMの30分の投与は血行動態を改善した。本研究では、急性心不全症例(n=7)においてAM(0.02μg/kg/min)+ANP(0.05μg/kg/min)を12時間併用投与し、その後のANP単独治療(12時間)と比較した。AM+ANP併用投与で血圧、肺動脈圧、全身血管抵抗、肺血管抵抗をより低下させ、心拍出量をより増加させた。ほかにも併用投与でアルドステロン、BNP、酸化ストレスマーカーをANP単独治療より低下させた。腎作用については両群に有意な差はなかった。また副作用を認めなかった。以上の結果からAM+ANP併用は血管抵抗の減少、心拍出量の増加と神経体液性因子や酸化ストレスの抑制機序が考えられ、AMの急性心不全治療薬としての有用性が示唆された。
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