実験モデルとして使用している自己免疫性心筋炎ラットにおいて、急性期14-21日において、一過性外向きカリウムチャネルのmRNAおよび蛋白発現が低下しており、また心筋として記録される単相性活動電位持続時間が延長していることから、心筋炎の発症に伴って活動電位の延長が生じていること、ならびに膜電位を構成するイオンチャネルのうちItoの発現が低下していることがその要因であろう事が推定された。また、この急性期変化に先立つ10-11日(超急性期)において、組織内に酸化ストレスの増加が示唆され(Herxanoyl-Lysine stain)、抗酸化剤であるN-acetyl systainが心筋発症や活動電位変化を抑制したことから、超急性期のROS活性が炎症と電気的リモデリングの進行に強く関与していることが示唆された。この結果は、活動電位を短縮させる介入期としては、心筋炎発症が明らかとなる急性期ではなく、むしろ超急性期が適していることを示唆するものである。 Ito遺伝子導入のため、Kv4.2およびKChiP2遺伝子導入用のプラスミドを作成した。同プラスミドのtransfectにより、NIH3T3細胞での両遺伝子発現を確認した。また、Oocyteへのtransfectにより、電位負荷時の膜電流の発現を確認した。 今後、vivoレベルでの組織に対する同遺伝子の発現確認と、実験モデルにおける導入テストが必要である。
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