研究概要 |
平成15年度から17年度での研究で,ラット心室筋のL型Ca電流がα受容体刺激時に増大し,これがプロテインキナーゼC阻害薬で抑制され,また,カルモデュリン依存性キナーゼ阻害薬(KN-93)で抑制されることを示した.また,このときにリン酸化されたカルモデュリン依存性キナーゼが増大,すなわちカルモデュリン依存性キナーゼ活性が増大することを示した.すなわち,α受容体刺激時にプロテインキナーゼCが活性化され,それによりカルモデュリン依存性キナーゼが活性化され,L型Ca電流を増大させると考えた.本研究はこれらを発展させ,プロテインキナーゼCとカルモデュリンキナーゼの普遍的な関連を導くことを目的とした. ラット心室筋に穿孔パッチクランプ法を適用し,L型Ca電流を測定した.アンホテリシンBを膜の穿孔に用いた.支持電位を-40mVとし,0mVへの脱分極パルスを10秒に一回あたえ,電流を測定した.α受容体と同じくGq関連受容体であるETA受容体をエンドセリン-1(10nM)で刺激した.エンドセリン-1により,電流は一相性の上昇をしめした.エンドセリン-1投与20分後の電流は投与前の124±7%(p<0.05)で,電流-電圧曲線は特に変化を認めなかった.現在,この反応がカルモデュリン依存性キナーゼを介するかどうかを,カルモデュリン依存性キナーゼ阻害薬KN-93を用いて検討中である. 上記に並行して,マウスの細胞内Ca,張力に対するGq関連受容体刺激の効果をエクオリン法を用いて検討した.まず,Gq関連受容体の一つであるα受容体刺激をおこなうと,Ca,張力ともに低下した.この反応はプロテインキナーゼC阻害薬で消失したので,プロテインキナーゼCを介する反応だということがわかった.さらに他のGq関連受容体刺激や,カルモデュリン依存性キナーゼの関与について検討する予定である.
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