1.基礎的研究 心房細動の発症危険因子とされる加齢、高血圧、糖尿病モデルにおける心房内皮障害をtissue factor pathway inhibitor(TFPI)、thrombomodulin(TM)、eNOS、ならびにPAI-1という分子発現の視点から検討し、洞調律においてすでにこれらの危険因子が心房内皮障害を引き起こしていること、心房細動自身によって引き起こされる心房内皮障害にレニン・アンジオテンシン系が強く関与していることを明らかにした。 2.臨床研究 前向きコホート研究であるShinken Database 2004-5を用いて、心房細動患者を抽出しRAS抑制薬ならびにスタチンの効果を検討した。データベース4255名中、初診時心房細動を呈したものは657名存在した。この心房細動患者、ACE阻害薬もしくはアンジオテンシン受容体拮抗薬を服用していた患者は91(13.9%)名であり、観察期間中の脳梗塞発生はRAS抑制薬服用群で1名(1.1%)、非服用群で5名(0.9%)に観察されたが有意な差はなかった。一方、statin服用患者は56名(8.5%)存在し、観察期間中の脳梗塞は服用患者群で0名(0%)、非服用患者群で6件(0.9%)であり、statin服用患者で脳梗塞発生が少ない傾向にあったが有意な差は認められなかった。
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