研究概要 |
Rrapamycin(sirolimus)を用いたdrug-eluting stent(DES)による新生内膜形成の抑制と血管リモデリングの成立過程を検討する過程で、ヒトPCI時の血液材料を用いて、DESにより好中球活性酸素種(ROS)の産生充進と抗炎症機序の増幅が生じることを確認した。合わせてこの反応は、アンジオテンシン受容体拮抗薬の併用により増幅されることも確認し報告した。一方、当初から目的とした塩基除去修復(base excision repair : BER)機構の主要な酵素であるAP endonuclease(Ape1/ref1)に関する検討では、確実な成果を得ることができた。すなわち、分離ヒト白血球よりRNAを抽出しNestPCRにより新たにApeIDNAを精製した。平行して作成したプラスミドを用い,リポフェクタミン法でT293cellにtransfectionし、導入を確認した。pcDNA/Ape1、pcDNA/LacZのadenovirusへの組み込みに成功し,傷害血管局所にApe1を過剰発現させることが可能になった。同時に行なったマウスワイヤー傷害血管モデルの解析では,非障害血管に比し、ワイヤー傷害血管局所においてApelgeneの著明な発現充進が確認され,血管傷害・血管リモデリングの過程においてApe1が重要な役割を担うことが明らかになった。これらの成績から,塩素除去修復(base excision repair : BER)機構の調節による抗酸化修復機序が,生体において抗動脈硬化作用を発揮する新たな過程が明らかにされ,さらに血管リモデリングの抑制における新たな治療ターゲットとして確立されるものと期待される。 これらの成績を踏まえて、次年度のvivoの研究をさらに推進する。
|