研究課題/領域番号 |
18590816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
粟飯原 賢一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70372711)
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研究分担者 |
赤池 雅史 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (90271080)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | ヘパリンコファクターII(HCII) / 遺伝子欠損マウス / 胎生致死 / 血管リモデリング / 血栓形成 / トロンビン |
研究概要 |
トロンビンは血管内皮細胞・血管平滑筋細胞・血小板に存在するトロンビン受容体(PARI)を介して、細胞遊走・増殖、活性酸素産生などを来たし、血管リモデリングに深く関与している事が明らかとなっている。ヘパリンコファクターII(HCII)は肝臓で合成分泌される一本鎖糖蛋白質で、主に傷害血管内皮下でのトロンビン作用を特異的に阻害する。我々はこれまでに多彩な動脈硬化性病変を呈したHCII欠乏症患者を見出し、血漿HCII活性が高い患者では、冠動脈形成術後のステント再狭窄や頸動脈プラークの形成が抑制されることを報告してきた。本研究では、血管リモデリングにおけるHCII作用の分子機構の解明を行うため、gene targeting法を用いてHCII欠損マウスを作成した。HCIIホモ欠損マウスは既報とは異なり、胎生致死であったためヘテロ欠損マウスを用いて、大腿動脈のカフ障害およびワイヤ障害モデルを作成したところ、HCIIヘテロ欠損マウスでは野生型マウスに比較して新生内膜肥厚の増大とPARIの発現亢進を認めた。またこれらの血管リモデリング異常はヒト精製HCII蛋白の補充で抑制された。次に粥状硬化におけるHCIIの作用を解明するため、ApoE欠損マウスとの2重変異マウスを作成した。2重変異マウスでは、ApoE単独欠損マウスに比較して、大動脈弁直上部のプラークが増大し、同部位の活性酸素産生が亢進していた。以上のことからHCIIはPAR1の発現や活性酸素産生の調節を通じて血管リモデリング抑制因子として作用することが明らかとなった。 これらの成果は、J Clin Invest.2007;117:1514-26.に誌上発表し、本研究の発表により平成19年度日本動脈硬化学会若手研究者奨励賞優秀賞、平成19年度8th. US-Japan-Asia Dialogue on Cardiovascular Diseases Outstanding Presenter in Basic Science Awardを受賞した。
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