高血圧ラットにおけるアドレノメデュリン(AM)とproadrenomedullin N-terminal 20 peptide(PAMP)の併用効果:AMとPAMPは、同一の前駆体から産生されるペプチドであり、共に降圧作用を発揮する。しかし、2種類のペプチドが同一前駆体から産生されることの生物学的意義は明確でない。本研究では、高血圧ラット(SHR)に、AMまたはPAMPの単独または併用投与して降圧効果を観察することにより、異なった2種類の降圧ペプチドが同一前駆体から産生される意義について考察した。15週齢のSHRに、AMまたはPAMPを単独または併用にて4週間皮下投与し、血圧と心拍数を無麻酔無拘束下に持続的にモニターした。AMとPAMPの併用投与により、単独投与と比較して、より強力な降圧作用が観察された。すなわち、AMとPAMPは相互に降圧作用を増強することが判明し、同一の前駆体から産生される異なった2種類のペプチドが血圧の上昇に拮抗すべく、協調して機能している可能性が示唆された。 心筋梗塞ラットにおけるアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とAMの併用効果:本研究代表者らは、心筋梗塞ラットの急性期にAMを投与すると、慢性期の心筋リモデリングが抑制されて、心機能低下が抑制されることを報告した。一方、梗塞後心筋リモデリング抑制におけるARBの有用性が実証されている。本研究では、ARBにAMを併用することにより、より有効なリモデリング抑制効果が得られるかを検討した。ラット左冠動脈結紮により急性心筋梗塞モデルを作成して、急性期より、AMを腹腔内に1週間、ARBカンデサルタンを経口にて9週間、それぞれ投与した。ARB単独投与は、心筋リモデリングを抑制して、心機能の低下を抑制した。急性期におけるAM併用は、ARB単独投与に比較して、非梗塞左室心筋の線維化をより効果的に抑制し、左室収縮能と拡張能は改善傾向を示した。すなわち、急性心筋梗塞後リモデリング抑制を目的とした、AMの併用治療薬としての有用性が示唆された。
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