研究課題/領域番号 |
18590826
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
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研究分担者 |
太田 孝男 琉球大学, 医学部, 教授 (70185271)
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 講師 (20343709)
岩本 隆宏 福岡大学, 医学部, 講師 (20300973)
岩田 敦 福岡大学, 医学部, 助手 (00412586)
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キーワード | 再生医療 / シグナル伝達 / 脂質 |
研究概要 |
低HDL-C血症は、大規模臨床研究から虚血性心臓病(CAD)の主要な負の危険因子である。本研究では、私たちがこれまでHDLにはコレステロール逆転送系以外の多面的作用、すなわち、抗酸化・抗炎症、抗血小板凝集、アポトーシス抑制などの様々な作用があることを基礎及び臨床研究で報告してきた実績を基に、心血管病治療のツールとしてHDL治療の確立を展開する。 まず、私たちは、ApoA-Iとホスフアチジルコリン(POPC)を結合させディスク状にしたreconstituted(r)HDLを作製した(POPC/Apo-AI)。今回、さらに、活性リン脂質スフィンゴシンーリン酸(S1P)の作用も期待し、新規rHDLとしてPOPC/Apo-AIにS1Pを重合させたPOPC/S1P/Apo-AIを作製した。次に、POPC/Apo-AIの血漿リポ蛋白のトータルプロフィー一ルに及ぼす変化を私たちが開発したキャピラリー等速電気泳動法にて分析した。POPC/Apo-AIは、In vitroにおいてLCAT活性非依存性にfast-migrating HDLとintermediate-migrating HDLをslow-migrating HDLへリモデリングしていることがわかった。また、III型高脂血症患者の血清を使用したIn vitroの研究では、上記のリモデリングに加えて、スタチンとPOPC/Apo-AIの併用効果により、トリグリセリドrichリポ蛋白分画が減少しており、治療への応用が期待できる結果を得ることができた。 さらに、POPC/Apo-AIの多面的効果の一つとして、血管新生作用を検討した。POPC/Apo-AIは、下肢虚血動物モデルにおいて、endothelial progenitor cellsの分化を誘導し、血管新生を引き起こすことを証明し、その効果はeNOSノックアウトマウスにおいて消失したことからeNOSの経路を介していることがわかった。また、新規rHDLのPOPC/S1P/Apo-AIは、In vitroにおいて、Akt/ERK/NO経路を介した冠動脈内皮管腔形成作用が認められ、今後、In vivoにおける検討を予定している。
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