研究概要 |
最初のの2年間において「肺の主要な細胞外抗酸化酵素である細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(ECSOD)の遺伝子導入が、肺高血圧症の動物モデルであるモノクロタリン誘発性肺高血圧症の進展を予防する」という仮説を証明し、肺高血圧症に対する新しい治療手段を提示することを目的とした実験的な研究を行った。方法としてSDラットにモノクロタリン皮下注射を行い、同時にvehicle(対照群)及びAdenoウイルスに組み込んだβ-galactosidase(ウイルス対照群)、ECSOD(ECSOD群)を経気管的に投与した。結果は免疫染色で気道表皮細胞,肺胞表皮細胞での遺伝子発現を確認証明した.両対照群では、28日目に肺微小動脈のリモデリングを伴った右室収縮期圧上昇及び右室肥大を認めた.一方、ECSOD遺伝子治療群では,血管リモデリング,右室収縮期圧上昇,右室肥大進展を統計学上有意に抑制した。また、本研究は、肺高血圧症の進展予防機序として,(1)肺動脈血管平滑筋細胞の増殖はECSDO治療群で有意に抑制されること、(2)モノクロタリン誘発性肺高血圧症の進展初期に増加した肺組織中の活性酸素種(8-isoprostane)はECSOD治療群で有意に減少されること,(3)eNOS発現が対照群では減少するが、ECSOD遺伝子治療群では減少しないことを示唆した。以上の結果を主要雑誌の一つに投稿し、採択された。また、循環器関係の国内学会や国際学会、研究会にて発表している。
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