研究課題
基盤研究(C)
申請者らは、レトロウイルスを用いた遺伝子トラップ法を応用して、脂肪細胞の分化を指標に、その原因遺伝子を明らかにするシステムを開発した。その結果、機能不明の遺伝子を含む、多くの候補遺伝子を同定しつつある。セロトニン産生の律速酵素であるtryptophan hydroxylase 1(TPH1)が変異を受けた前駆脂肪細胞が脂肪細胞に分化せず、セロトニンの2A受容体拮抗薬において、生理的な脂肪細胞分化が阻害されることを確認した。さらに、TPH1欠損マウスにおいて高脂肪食を負荷した際に、脂肪細胞分化が起こらず、既存の脂肪細胞が肥大するために、より大きな脂肪細胞が生じることを認めた(投稿準備中)。また、上記の遺伝子トラップ法においてTGF-betaのシグナル伝達を抑制するTG-interacting factor(TGIF)も脂肪細胞分化に必要であることを見いだした。TGF-betaはSmad2,3の活性化により脂肪細胞分化を抑制するが、その一方で脂肪細胞から分泌されることが知られている。そこで、脂肪細胞分化に際しては、何らかの因子がTGF-betaに拮抗的にはたらくことが推察されてきた。我々は、インスリン刺激によるAktのリン酸化がTGIF蛋白の安定性を起こすこと、さらに、PPAR-gammaアゴニストによって転写と翻訳の亢進によりTGIFの発現レベルが上昇することを見いだした。またインスリンによってTGIFのDNA結合能も上昇した。以上のことにより、インスリン、PPAR-gamma刺激によってTGF-betaのシグナル伝達を抑制することが、脂肪細胞の分化に重要であることを見いだした(投稿準備中)。また、肥満者、正常者において血漿エンケファリンの濃度測定を開始した。さらにインスリン抵抗性を惹起させる遺伝子としてFilamin、Thymosin-beta4、PDGS遺伝子を見いだした。
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