研究概要 |
肺癌に対するより強い免疫療法の開発を目指し、本研究の目的は以下の併用治療を検討することである。すなわち、タイプ1免疫活性化のためにTh1細胞を腫瘍内に投与し、局所放射線治療と併用する新たな治療方法を開発し、その有効性と治療メカニズムをマウスモデルを用いて検討することを目的とする。 今回の検討では、C57Bl/6マウスおよびC57Bl/6マウス由来の肺癌細胞株LLCに仮想癌抗原としてovalbuminを遺伝子導入(LLC-OVA)した系を用いた。LLC-OVAをC57BL/6マウスの右側腹部皮下に1匹当たり2×10^6個移植し,腫瘍径が8-10mmになる移植後5日目頃に20Gyの単回照射を腫瘍局所に施行した。次に腫瘍移植から10日目,13日目及び16日目頃に各々2×10^7個のOT-II由来Th1細胞を腫瘍局所に同時投与した。その結果、放射線照射とTh1細胞の腫瘍局所への投与を併用した群で、有意に腫瘍の退縮が見られた。 現在放射線およびTh1細胞の併用治療による免疫学的抗腫瘍メカニズムの解析のために以下の実験を施行中である。 1.腫瘍内及び所属リンパ節内におけるCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、NK細胞、制御性T細胞(Treg)の割合 2.腫瘍内及び所属リンパ節内におけるOVA抗原特異的CD8陽性T細胞の割合 3.腫瘍内及び所属リンパ節内におけるOVA抗原特異的細胞傷害活性の測定 4.併用治療による腫瘍内及び所属リンパ節内におけるTh1細胞の増殖・活性化の測定 5.併用治療による全身性抗腫瘍免疫の誘導の検討
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