研究課題
肺癌に対するより強い免疫療法の開発を目指し、タイプ1免疫活性化のためにTh1細胞を腫瘍内に投与し、局所放射線治療と併用する新たな治療方法を開発することを目的とした。その有効性と治療メカニズムを主にマウスモデルを用いて検討した。マウス腫瘍に対する抗原特異的Th1細胞と局所放射線治療の併用治療平成18年度の実験を継続して施行した。方法としては肺癌細胞株LLCに仮想癌抗原としてOvalbuminを遺伝子導入(LLC-OVA)した細胞をC57BL/6マウスを右側腹部皮下に1匹あたり2×10^6個移植し、腫瘍径が8-10mmになる移植後5日目頃に20Gyの単回照射を腫瘍急所に施行した。次に腫瘍移植から10日目、13日目及び16日目頃に各々2×10^7個のOT-II由来Th1細胞を腫瘍急所に同時投与し、以下の項目について検討した。1.腫瘍内及び所属リンパ節内におけるCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、NK細胞、制御性T細胞(Treg)の割合2.腫瘍内及び所属リンパ節内におけるOVA抗原特異的CD8陽性T細胞の割合3.腫瘍内及び所属リンパ節内におけるOVA抗原特異的細胞障害活性の測定4.併用治療による腫瘍内及び所属リンパ節内におけるTh1細胞の増殖・活性化の測定5.併用治療による全身性腫瘍免疫の誘導の検討昨年までの成果として、Th1細胞と局所放射線照射は非常に強い抗腫瘍効果を発現できることがわかった。その後の検討として、この併用療法によって特に腫瘍内や所属リンパ節に活性化CD8T細胞が増加し、抗原特異的に腫瘍細胞障害活性を示すことが判明した。今後はさらにOX40抗体などの免疫刺激に働く抗体と局所放射線治療との併用などを検討していく予定で、やはり腫瘍径の測定を中心とした抗腫瘍効果やその場合に関与する免疫細胞について引き続き検討していく予定である。
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Cancer Sci. (in press)