研究課題/領域番号 |
18590835
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
柴田 陽光 山形大学, 医学部, 講師 (60333978)
|
研究分担者 |
高畠 典明 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (80344795)
阿部 修一 山形大学, 医学部, 助教 (40400543)
|
キーワード | 肺胞マクロフィージ / 転写因子 / MafB / 喫煙 / 肺気腫 |
研究概要 |
肺気腫は肺胞壁の破壊および肺胞マクロファージ数の増加を病理的特徴し、その9割は喫煙が原因であると考えられている。近年の研究において、喫煙により活性化された肺胞マクロファージがその病態の進展に重要であることが理解されてきている。その活性は亢進しさらにタバコ煙の毒性のも関わらずその寿命が著明に延長していることが報告されている。一方、MafBはマクロファージの機能を調節する転写因子として知られているが、その肺気腫の病態にどのように関与するかは検討されていなかった。我々は以前、マウスへ6ヶ月にわたる喫煙負荷を行い肺気腫マウスを作製し、回収した肺胞マクロファージよりMafBの遺伝子発現を解析した。喫煙負荷マウス肺胞マクロファージでは転写因子MafBの発現はRNAおよび蛋白レベルにて有意に充進しており、肺胞マクロファージの核蛋白中ではその転写活性が亢進していた。さらにMafBの機能を探究するため、マクロファージ細胞株にプラスミドベクターを用いてMafB強制発現細胞株を作製し、MafB過剰発現によりアポトーシスが枕制されることを見出した。そのアポトーシス抑制機序として、ミトコンドリア経路ではなく、カスパーゼ3の活性を抑制すること、特にアポトーシス調節因子であるmodulator of apoptosis-1の発現を抑制することを示した。 さらに詳細にMafBの機能を解析するために、プラスミドベクターを用いてMafB shRNA恒常発現細胞株(MafBノックダウン細胞)を作成することに成功した。こちらでは逆にMafB抑制によって喫煙ストレスによるアポトーシスが亢進することが理解された。 また、in vivoでのMafBがマクロファージでどのような機能を有しているのかを詳細に検討するため、スカベンジャーレセプター制御ドミナントネガティブMafB発現マウスを作成した。現在そのマウスを用いて生体内でのMafBの機能を解析中である。
|