研究概要 |
小細胞肺癌患者末梢血液中単核球(PBMNC)における、effector T細胞(CD62L^<low>CD4^+,CD62L^<low>CD8^+)と、制御性T細胞(Treg, CD62L^<high>CD4^+CD25^+)の比率と病期、病態の関連について解析を進めている。現在までに、健常者(HV)18名、限局型小細胞肺癌患者(LD)21名、進展型小細胞肺癌患者(ED)17名、再発患者8名、長期生存小細胞肺癌患者(LS)10名の解析を終了している。治療中の患者については、化学療法介入後のPBMNCの解析も進めている。今後さらなる症例の集積を予定している。 これまでに、CD62L^<high>CD4^+CD25^+T細胞分画が末梢血液中のFoxP3陽性細胞分画とほぼ一致すること、この細胞は共培養によりeffector型CD4^+,CD8^+T細胞のサイトカイン産生、増殖を抑制するなど、Tregとしての機能を有していることを確認している。また、手術適応のあったLD患者より摘出癌組織を得た上で行ったサイトカインアッセイでは、PBMNCより得られたCD62L^<low>CD4^+及びCD62L^<low>CD8^+T細胞が腫瘍抗原特異的なIFNγ産生を行うことを確認した。LDにおいて治療前には、ED, HVに比して有意に多数のeffector型CD4^+T細胞(Teff)が存在しており、HVと同程度のTregのみが見られること、一方、EDにおいてはLD, HVに比して有意に多数のTregが見られるもののTeffはHVと同程度であることが示されてきている。 これらの結果は、平成18年9月に行われた日本癌学会学術総会において発表した。
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