研究課題
基盤研究(C)
培養ヒト肺動脈平滑筋細胞(HPASMC)をRhoキナーゼの選択的阻害剤であるY-27632の存在下で培養し、低酸素培器を用いて2%の低酸素におけるCDK inhibitorであるp27、p21の発現、p53の発現を検討した。同様の条件でCellMaxシステムによるシェアストレスを加え、Rhoキナーゼの関与とそれによる細胞周期への影響、CDK inhibitorの発現を検討した。結果1)21%酸素培養下に比し、2%低酸素においてHPASMCのBrdUの取り込みは上昇、FACSでの細胞周期の進行が認められた。Y-27632の投与によりそのBrdUの取り込みは抑制され、細胞周期もGO/1期で抑制された。2)低酸素下ではp21、p27蛋白発現のいずれもが低下した。Actinomycin DとCycloheximide投与によるp21、p27のmRNAと蛋白の半減期を測定した結果、低酸素下でp21はmRNAの半減期の低下を、p27は蛋白分解の亢進が認められた。3)また、低酸素下においてp27の発現はY-27632の存在下で有意に上昇したが、p21、p53の発現にはY-27632は影響を与えなかった。4)siRNAを用いたp27の発現抑制細胞ではY-27632によるBrdUの取り込みの低下を抑制し、Rhoを介するHPASMCの細胞増殖抑制にはCDK inhibitorであるp27が関与することが想定された。5)シェアストレス下、HPASMCのBrdUの取り込みは、2%酸素培養で21%酸素培養よりも有意に上昇した。Y-27632の投与によりそのBrdUの取り込みは抑制された。6)低酸素下、シェアストレス下ともにp27mRNA発現は低下下g、Y-27632の存在下でその低下度は和らいだ。低酸素とシェアストレスが相乗的にHPASMCの増殖をうながすが、その際にRhoキナーゼの関与がやはり大きいという結果であった。
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