研究課題
基盤研究(C)
1. 若年発症COPDの疫学調査若年発症COPD90例を解析した。男女比は77/13と喫煙率を反映して男性に多く、α1-AT以外の喫煙感受性の存在が示唆され、未成年からの喫煙が若年発症に繋がっていると考えられた。BMIが18以下のpulmonary cachexiaを示した症例は16.7%、ほとんどが重症患者であり、栄養障害が若年発症重症COPDの1つの原因にもなっている可能性が示唆され、早期の栄養療法が必要と考えられた。入院歴を有する患者群ではBMIが低く、受動喫煙歴が高く、喘息合併および既往を有する頻度が高く、気流制限、肺過膨張および息切れの程度(MRC scale)は強いという結果であった。胸部CT画像上、気腫病変が認められない症例は15.2%でLAA%<25%を含めると23%で、気腫のタイプとしては小葉中心性気腫が77%と大半を示し、一般のCOPDを対象にしたphenotypeの検討とほぼ同様の結果であった。また、気腫性変化の乏しいCOPD症例には女性の比率が高かった。若年発症COPDの中には喘息や副鼻腔気管支症候群の合併例や鑑別困難な症例を比較的多く含んでいた。2.COPDの発症におけるtransfoming growth factor beta 1(TGF-B1)遺伝子多型の関連TGF-B1は、種々の細胞の増殖・分化、細胞外マトリックス産生、アポトーシス、さらに免疫機能に関与するサイトカインでる。COPDの中で肺気腫に注目し、70名の肺気腫患者と99名の喫煙歴のある健常者との間で、TGF-B1遺伝子に存在する8つの一塩基多型(rs2241712、rs1982072、rs1800469、rs1982073、rs2241716、rs4803455、rs6957、rs2241718)の頻度を比較検討した。その結果、年齢、性別および喫煙歴の補正により、肺気腫とrs6957およびrs2241718との間に有意な相関を認めた。ハプロタイプの解析では、Haplotype3の頻度について肺気腫群と対照群との間で有意な差を認めた。さらに、肺気腫群の呼吸機能データにおいて、気管支拡張薬吸入後の予測1秒量およびCOPDの重症度と、rs1800469およびrs1982073との間に有意な相関を認めた。以上から、日本人における肺気腫の発症にTGF-B1遺伝子が関与する可能性が示唆された。
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