| 研究概要 |
Sauropus androgynus(SA、アマメシバ)の葉の抽出物の摂取に関連した閉塞性細気管支炎(BO)の発症の報告がある。SAが単球系細胞、気道上皮細胞および血管内皮細胞に与える直接の影響を検討した。
単球系腫瘍細胞株(THP-1、RAW)、ヒト末梢血単球、ヒト肺胞マクロファージの培養液中にSA(DMSO溶解液)を添加すると、対照に比較して有意にTNF-αの産生が増大した。次にSAをヘキサン、アセトン、メタノール、水の順に溶解抽出し、それぞれの分画を単球系細胞培養液中に添加すると水溶性分画のみに強いTNF-α産生誘導がみられた。この水溶性分画を、分離TLC(thin-layer chromatography)を用いて分配するとRf値が中等度の分画に強いTNF-α産生誘導がみられ、silica gel column chromatographyでの分配でも、やや極性の低い分画にTNF-α産生誘導が強かった。これはSAの水溶性成分(以後aqSA)の中で、比較的水親和性の軽度な分画に、単球系細胞を介して生体に炎症を引き起こす物質が含有されていることを示唆していた。このaqSAは単球系細胞株THP1よりのIL-8,IP-10,VEGF産生も有意に増強した。aqSA刺激による正常ボランティア末梢血単球からのTNF-α産生誘導においては、有意な個人差がみられ、機序は未解明であるが、SAを接種した人の一部のみにBOを発症することと関連する可能性がある。
一方で肺胞上皮細胞については、SA(DMSO溶解液)、aqSAともに上記の炎症性サイトカイン、ケモカインの産生増強は認められなかった。
内皮細胞に対するSAの影響を検討すると、aqSAは内皮細胞株MS-1の増殖を48時間で有意に抑制していた。これがaqSAによる内皮細胞のアポトーシスの誘導によるのかどうかは現在検討中である。
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