平成18年度では、肺胞上皮細胞と肺胞マクロファージを用いて、炎症性サイトカイン産生・分泌に対するプロテインS(PS)影響を検討した。さらに、リポポリサッカライド(LPS)による肺傷害モデルマウスに対するPSおよび活性化プロテインC(APC)とPSの併用の抑制効果を検討した。 1)炎症性サイトカインの発現に及ぼすPSの影響:野生型(C57BL/6)マウス由来肺胞マクロファージは気管支肺胞洗浄液から分離する。人由来の肺胞上皮細胞(A549)・単球(THP-1)の細胞株も実検に用いた。各々の細胞はPSとリポポリサッカライド(LPS)で培養し、TNF-α、IL-1β、MCP-1、IL-6などの炎症性サイトカインの産生をELISA法とPCR法で検討した。その結果、PSはLPS刺激による肺胞マクロファージ、A549細胞、THP-1細胞からの炎症性サイトカインの産生を抑制した。 2)急性肺傷害に対するAPC+PSの効果:C57BL/6野生型マウスにLPS(5mg/kg)を気管内に投与し、急性肺傷害モデルを作製した。LPS(5mg/kg)の気管内投与1時間前にAPC(1mg/kg)、PS(1mg/kg)、APC+PSまたは生理食塩を腹内投与し、24時間後に血液、気管支肺洗浄液中のTNF-α、IL1-βなどの炎症性サイトカイン量、好中球、肺胞マクロファージの数、組織学的変化で急性肺傷害の程度をグループ間に比較検討する。その結果、PS投与群とAPC+PS投与群では生理食塩投与群にくらべ、気管支肺胞洗浄液中の炎症性サイトカイン、細胞浸潤が有意に低下した。
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