研究概要 |
塵肺に高率に肺癌が合併することは既に多く報告されているが、肺野に多彩な画像所見を有する塵肺患者において新たに出現した肺癌を検出することは現代の画像診断技術を用いても比較的困難な場合がある。肺癌細胞では癌化の早期よりMGMT, p16INK4A, RASSF1A, DAPK, RAR-βなどの遺伝子のプロモーター部位にメチル化が生じ、これらがごく早期から末梢血中に遊離DNAとして検出できることを利用し血清メチル化DNAの塵肺肺がん診断への応用が期待される。本研究の目的は当施設および関連施設において塵肺患者と塵肺肺癌患者の血清中遊離メチル化DNAの出現率を前向きに比較検討することにより塵肺肺癌の診断への応用可能性を明らかにすることであるが、昨年度までの中間解析にて肺癌を有しない塵肺症例69例中19例(27.5%)に前述の5遺伝子の少なくともいずれかひとつにメチル化を認めたのに対し、塵肺肺癌症例では9例中7例(77.8%)に少なくともいずれかひとつの遺伝子のメチル化を認めているが(p=0.0003)症例数の不足から現在さらなる症例の集積中です。また、今年度の検討では悪性中皮腫においてもRASSF1Aのメチル化が高頻度に検出されることを認めており石綿肺症例についてまた、今年度の検討では悪性中皮腫においてもRASSF1Aのメチル化が高頻度に検出される(p=0.013)おり石綿肺症例について併せて検討中です。
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