研究概要 |
1)Twitching motilityをtargetにしたsiRNAの設計 当教室で保有するTwitching motility欠損株と同じ遺伝子pi1H, pi1I, pi1J, pi1Kおよび線毛構成蛋白pi1A遺伝子をtargetにしてsiRNAの設計を計画した。各緑膿菌遺伝子のシークエンスはhttp://www.pseudomonas.comより調べた。本来、真核細胞用の設計方法であり、原核細胞である緑膿菌での効用は明らかではないが、Web上の設計ソフト(http://design.rnai.jp)をもとにsiRNAをデザインした。各々のsiRNAをSIGMA Genosys siRNA Serviceに発注して合成した。 2)Twitching motility抑制効果の実験 緑膿菌標準株PAO-1を一晩LB寒天培地で培養し、滅菌PBSで洗浄後に濁度で菌数を1×10^8にそろえた。RNAase freeのPBSでさらに100倍希釈した菌液を分注して室温に整地した。各試験管に2μM相当の各siRNAを0、1、2、3時間のタイミングで添加して、菌体にsiRNAを作用させた。4時間後に菌を滅菌toothpickで採取してLB寒天培地(2% agar)の中央に底まで突き刺すように接種して37℃下48時間培養した。培地の底と寒天の間に接種点より同心円に広がるTwitching zoneの最長半径(mm)をもってTwitching motilityの評価とした。各siRNAの効用の比較はコントロールとして非作用PAO-1株のTwitching motilityを100%として相対評価とした。 3)結果 初回実験ではpi1K, pi1Aに対するsiRNA作用群が各々コントロールに比して、79±9%、81±9%と有意にTwitching motilityが低下していた(n=5)。しかし、欠損株であるΔpi1HIJK株に比べてその低下は少なく、再現性に問題があるため、siRNAが十分に作用しているのかあるいは菌体内に取り込まれていないのかの判定が困難であった。 4)今後の展望 菌体内へのsiRNA取り込みの方法としてElectroporationが用いられないか、検討中である。 またsiRNAが効用しているか評価のためにtarget遺伝子の遺伝子発現あるいは蛋白発現の評価方法を検討中である。
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