研究課題
基盤研究(C)
1.高分化杯細胞培養系を用いたin vitroの検討;モルモット気管上皮をプロテアーゼ処理にて単離し、Transwell上に細胞をまき、DMEM/HamF12培地で培養した。コンフルエンスの後、Air-interface法とし、IL-13を添加し杯細胞系を作成した。10日後、IL-13を除去した培地への切り替え、またはIL-13の中和抗体を加えて、継続培養した。経時的に細胞の光顕標本、電顕標本を作製し、杯細胞、線毛細胞などの各細胞数、線毛と粘液顆粒を有するTransition phenotypeの細胞を算定した。また 粘液の面積を画像解析ソフトで求めた。粘液量の定量評価は抗MUC5AC抗体を用いたELISAで測定した。さらに細胞増殖はBrdUの取り込みで、アポトーシスはssDNAアッセイで解析した。IL-13除去2日後、PAS陽性領域およびMUC5ACのレベルは急速に減少し、除去4日後には杯細胞の数は著明に減少した。一方、線毛細胞は相補的に増加した。また、線毛と粘液顆粒の両方を有するTransition phenotypeがIL-13除去後に多く出現した。経過中、総細胞数は変化せず、またBrdUの取り込みはIL-13除去後には減少していた。アポトーシスの関与は軽度であった。IL-13中和抗体の添加後も同様に杯細胞の減少と線毛細胞の増加を認めた。2.抗原感作喘息リモデリング動物を用いたin vivoの検討;Hartley系雄モルモットに卵白アルブミンを腹腔内に1週間毎に4回反復投与し、著明な杯細胞増生モデルを作製した。また抗原投与時に、Th2阻害薬、抗IL-13抗体、ステロイドを投与し、杯細胞増生の抑制効果を検討した。取り出した気管、気管支をホルマリン固定し、PAS/Alcian blueで染色し、画像解析ソフトにて粘液の面積を測定した。Th2阻害薬、IL-13抗体、ステロイドにより粘液の面積の低下を認め、杯細胞増生の抑制が観察された。また透過型電顕にて粘液顆粒と線毛の両方を有するTransition phenotypeの出現を認めた。3.気道上皮細胞は可塑性を有し、喘息リモデリングによる杯細胞増生に対して抗IL-13療法などにより杯細胞から線毛細胞への変換を促す可能性が示唆された。過分泌治療に対する新しい治療法の確立に寄与すると期待される。
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