平成18年度より脾臓摘出マウスを用いて顆粒球コロニー刺激因子G-CSF(granurocyte colony stimulating factor)とエリスロポエチンによる肺細胞の再生を試みている。肺障害としてブレオマイシンの経静脈投与による肺臓炎モデルを用いた。ブレオマイシン投与後、day0からG-CSFとエリスロポエチンを5日間連日で皮下注射を行って骨髄幹細胞の肺への動員を誘導した。day21または28に気管支肺胞洗浄、肺組織の摘出を行った。気管支肺胞洗浄液の解析ではコントロールマウスと比較して総細胞数や好中球細胞比率の有意な減少を認めたものの、肺組織の顕微鏡所見や線維化スコアからは有意な改善は認められなかった。ブレオマイシンの経静脈投与モデルでは誘導される肺障害が比較的軽症であるため有意な差が認められなかった可能性もあり、21年度はラットのブレオマイシンの経気管支投与による急性肺障害のモデルを用いて検討を行う予定である。最近では間葉系幹細胞移植による急性肺障害が改善した動物モデルも報告されており、本実験系において間葉系幹細胞の動態を検討する予定である。また末梢血中のfibrocyteと肺障害との関連が報告されており、メカニズム解析として本実験モデルにおける末梢血fibrocyteの検討を行う予定である。
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