研究概要 |
われわれはこれまで電子スピン共鳴法(ESR)を用いた,非侵襲的なin vivoレドックスイメージングの応用研究に携わってきた.この手法は動物に非侵襲的であり,in vivoで継続的にレドックス状態を追跡できる.今年度はこれらの手法の応用により,これまで描出不可能であった高血圧病態における微弱な酸化ストレス変化を検出・画像化するとともに,各種降圧薬の酸化ストレスへの影響も評価することを目指した. レドックスイメージングはin vivo ESR/ESR imaging(ESRI)を用い,スピンプローブ法により評価した.スピンプローブはニトロキシドラジカル系の3-carbamoy1-2,2,5,5-tetramethylpyrrolidine-1-oxyl(Carbamoyl-PROXYL)を用いた.高血圧モデルとしてマウス2Kidney-1Clip(2KlC)モデルを用い,Ca拮抗薬azelnidipine(Azl)を高用量(3mg/kg)あるいは低用量(1mg/kg)投与し上腹部におけるin vivoESRおよびESRIより,降圧療法による腎レドックス変化を評価した. 2K1CマウスではAzl高用量群に於いて低用量および無治療群に比べ有意な降圧がみられた.しかし投与開始2週後のCP半減期は高・低用量両群とも無投与群と比べほぼ同様に短縮した.これらはSODおよびマンニットールにより影響を受けず臓器還元能の改善と考えられた.投与12週後のESRIでは腎・肝領域ともCP半減期の短縮をみた.CP半減期と血清クレアチニン、クレアチニンクリアランスに相関はみられなかった. これらのことはCa拮抗薬による臓器還元能改善による抗酸化効果を有することを示している.CP還元能と血圧および糸球体濾過能には関連がみられず抗酸化効果は降圧による体循環および糸球体血行動態改善効果とは独立してもたらされると考えられた.
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