研究課題/領域番号 |
18590879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山縣 邦弘 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (90312850)
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研究分担者 |
清水 芳男 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50359577)
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キーワード | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / 欠失変異 / マウスモデル / 糸球体上皮細胞 / ネフリン / ポドシン |
研究概要 |
ミトコンドリア遺伝子の4698bp欠失を導入したマウス(mito-mouse)は、その変異遺伝子含有量が増加すると巣状糸球体硬化病変と同時に腎不全により死亡することが明らかとなっている.このミトコンドリアDNAの大規模欠失変異マウスでは、巣状糸球体硬化病変形成前に、大量の蛋白尿を呈するようになり、その後FGS病変が形成されることが明らかとなった。このマウスの蛋白尿の発現機序の解明を目的に以下の検討を行った。 方法: (1)糸球体係蹄壁スリット膜蛋白の変化 ・我々の作成したNephrinならびにpodocinそれぞれの細胞内ドメインおよび細胞外ドメイン対する抗体使用してスリット膜蛋白に対する抗体の糸球体内分布の経時的変化を螢光抗体法間接法で確認すること。 (2)糸球体内におけるスリット膜関連分子の変化の検討 ・腎組織からsieving法により糸球体を分離し、蛋白成分ならびにDNA、RNAを抽出. 糸球体由来蛋白のWestern blottingにより、スリット膜蛋白の発現量の変化を検討する.あわせてスリット膜分子に対するmRNAの変化をRT-PCRにより検討する. (3)光学顕微鏡下、糸球体内の上皮細胞の経時的変化を確認する. 結果: ミトコンドリアDNA変異率60%以上が導入されたマウスにおいて、20週齢以降に高度の蛋白尿を呈すること、さらに週齢を重ねることによりFGS病変の形成を認めることを確認した。NephrinのmRNAはコントロールに比べ尿蛋白(-)の時点で上昇を認めるも、その後経時的に低下、Nephrinの産生も同様の傾向を示した。podocinも同様の傾向を示すも、mRNAは尿蛋白3+程度まで増加時点まで上昇、しかしながら蛋白レベルでは、産生増加は起こらず。蛋白合成障害等の関与が想定された。 結論: mito-mouseでは、糸球体のスリット膜蛋白の合成障害と同時に尿蛋白の増加があり、ミトコンドリア機能の糸球体上皮細胞機能における関与が示唆された。
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