研究課題
我々は腎糸球体における巣状分節状硬化病変の形成において、糸球体上皮細胞のミトコンドリアDNA異常ならびに機能異常の関与を示してきた。ミトコンドリア機能異常の結果、糸球体係蹄壁から糸球体上皮細胞が脱落し、巣状分節状硬化病変が形成されると考えられている。そこで本年度はおもにヒトの尿沈渣から、尿中に脱落した糸球体上皮細胞を分離し、分離した糸球体上皮細胞のミトコンドリア機能、その他のタンパク、mRNAの量的質的変動を検討した。糸球体上皮細胞の分離には糸球体上皮細胞表面に特異的に表出しているpodocalyxinに対するモノクローナル抗体を使用して、マウス免疫グロブリンに対する抗体の標識された磁気ビーズに、上記の抗体を反応させ、尿中糸球体上皮細胞分取法と同時に、尿中糸球体上皮細胞を蛍光染色した。現在までに12例の症例(ミトコンドリア脳筋症1名、糖尿病性腎症1名、腎硬化症7名、巣状糸球体硬化症3名)の尿サンプルから、糸球体上皮細胞を採取した。尿中糸球体上皮細胞数には疾患による差が大きかった。尿中糸球体上皮細胞中にミトコンドリアDNA量と尿蛋白量、糸球体上皮細胞数との間には、一定の傾向を認めず、さらに症例数を増やし検討する必要があると考えられた。尿中糸球体上皮細胞採取において、現在の磁気ビーズ法では、破壊された尿中の沈渣成分の混入が否定でぎず、更なる工夫が必要であった。蛍光顕微鏡下での単細胞採取によるコントロール補正を行った上での再評価を予定している。
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