研究課題
基盤研究(C)
上皮性ナトリウムチャンネルをユビキチン化することで、細胞内へのinternalizationを促進し、アルドステロン感受性遠位ネフロンにおける、ナトリウム再吸収を抑制する働きをもつ、Nedd4Lは、ヒトにおいて、下記のような特徴を有しており、生体内で内因性の抗高血圧作用をもった有力な高血圧候補遺伝子であると考えられる。#1 ヒトおよびげっ歯類で、transcriptome解析により、複数のtrascriptional isoformを有している。#2 カルシウム依存性に細胞膜に結合するC2ドメインを有するものと、持たないisoformがある。#3 ヒトでは、エクソン1の末端にあるSMP(variant 13 : rs4149601)によってC2ドメインを有する新規のisoformの発現が、腎臓ほかに認められる。こうしたことから、本態性高血圧症の発症に本遺伝子のmoleculardiversityが関与している可能性について検討している。その結果、げっ歯類の食塩感受性高血圧モデルであるDah1ラットを用いた検討で、本遺伝子mRNAおよびタンパクが食事中の食塩摂取量により発現量が変化すること、食塩感受性高血圧ラットでは、その変化が抑制されていることを見出し、高血圧の食塩感受性に対する本遺伝子産物の重要な役割が明らかになった。さらに、本邦人の高血圧と正常血圧とを比較した、関連研究の結果からは、variant13と本態性高血圧との関連が男性において、有意に認められた。以上の結果から、ヒトNEDD4L遺伝子は、本態性高血圧症の有力な候補遺伝子であり、common variantによって発現が認められる新規C2ドメインを有するI型(isoform I)Nedd4Lが、本症の発症、食塩感受性に関与している可能性が示唆されており、今後in vitro/in vivoでの解析を行い、エビデンスの集積を図っていく。
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Am J Physiol Renal Phsiol, Epub ahead
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