LAT3は腎において糸球体特異的な局在を示した。免疫電顕によりその局在は足突起apical membraneにあること、飢餓マウス糸球体ではupregulationされること、培養マウスポドサイトにおいて、分岐アミノ酸をsystem L特異的パターンで取り込みをすることが判明した。その発生における発現時期は、S-shaped bodyのポドサイトであった。Zebrafishを用いたknockdown法により、その糸球体発生における機能を検討した。LAT3 morphantは、collapsed glomerulusの形態を呈した。Dye injection法により、この糸球体の蛋白バリアの破綻が惹起されたことが判明した。透過電顕により、糸球体基底膜の顕著な肥厚がみられた。一方、ポドサイトスリット膜は保持されていた。以上のことから、LAT3は糸球体足突起apical側から分岐アミノ酸を取り込み、ポドサイトの蛋白合成の基質になっていること、特にロイシンは、リボソームでの蛋白合成系の促進調節分子として働くことが推測された。発生期のLAT3 knockdown糸球体での選択的な糸球体基底膜構築異常は、スリット膜蛋白と基底膜マトリックス分子の蛋白輸送系のturn over rateの違いの結果と推測された。 LAT2は従来の近位尿細管に加えて、糸球体ポドサイト細胞質とボウマン嚢上皮にも同定された。半月体形成性腎炎ラットの糸球体の半月体部位に、LAT2とそのリガンド糖蛋白4Fchcの強い発現がみられた。これに先だって、ボウマン嚢上皮のmTORのリン酸化が判明した。LAT2発現細胞を用いたmTORアッセイの結果から、LAT2自身もmTORのリン酸化に関わることが判明した。さらに、mTOR阻害剤により、半月体形成率は阻害された。以上のことから、糸球体半月体は、ボウマン嚢上皮において、1)血漿中の成長因子群によるmTORリン酸化、2)LAT2・4F2hcの強発現、3)LAT2からのロイシン取り込みによるパラクライン的mTORの活性化が誘導されることにより形成されることが明らかになった
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