本年度における研究の目標はカルポニントランスジェニックマウス(CN-Tg)の作成と、CN-Tgに糖尿病の惹起させ腎の組織学的検討を行い、カルポニン発現誘導が糖尿病による糸球体病変の進行を抑制しうかどうかを確認することにあった。CN-Tgの作成は以前、私達がラットにおいて行った方法と同様の方法において施行したが、この樹立が種々の困難さに直面し、予想以上に時間がかかることになった。紆余曲折の後に、ようやく平成19年1月から起動に乗りはじめ近日中に糖尿病を誘導できることとなった。CN-Tgの作成に手間取っている間に、対照群となる糖尿病マウスの作成とその腎糸球体障害像の評価の確立は並行的に進めることができた。予定している腎組織における新生血管の組織内局在の評価のための血管内皮細胞マーカー(トロンボモジュリン、トロンボスポンディン、RECA-1)に対するモノクロナール抗体を用いた免疫染色についてもその染色法を確立できた。ストレプトゾトシンの少量頻回投与法によって高度の糖尿病の作成法を確立できた。また高血糖の管理法としてのインスリンの投与などについても問題なく施行可能となった。これらの基礎的なテクニックの確立によって、作成が遅れたCN-Tgへの糖尿病の惹起おとびその評価は今後、急速に進めることが可能と考えられる。
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