研究課題/領域番号 |
18590909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
秋澤 忠男 昭和大学, 医学部, 教授 (40102339)
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研究分担者 |
緒方 浩顕 昭和大学, 医学部, 講師 (30296959)
椎崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助手 (10423930)
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キーワード | 腎性骨異栄養症 / 2次性副甲状腺機能亢進症 / 活性型ビタミンD / 異所性石灰化 / 副甲状腺ホルモン / 線維性骨炎 / 無形成骨 / 副甲状腺機能低下症 |
研究概要 |
腎機能障害に伴う代表的合併症である骨病変(腎性骨異栄養症)と異所性血管石灰化(動脈硬化)は、ともにCa/P代謝異常を介して密接な関連をもつ。腎性骨異栄養症と異所性血管石灰化発症とのクロストークを解明する目的で、低Ca、高Pで飼育し高度の2次性副甲状腺機能充進症を発症させたラットモデルを用い、異所性血管石灰化の発症と骨病変の変化を検討した。その結果、異所性石灰化を呈する高度の2次性副甲状腺機能充進症では、骨吸収、骨形成とも充進した線維性骨炎像が認められ、血管石灰化、骨病変の進展は2次性副甲状腺機能充進症の進行と密接に関連した。そこで、2次性副甲状腺機能充進症を発症した腎不全ラット副甲状腺内にビタミンDアナログ(maxacalcitol)を直接注入し、2次性副甲状腺機能充進症、骨病変、石灰化の変化を検討した。アナログ注入に伴い、PTH値は著明に低下し、腫大していた副甲状腺サイズは縮小した。この縮小は、副甲状腺細胞のアポトーシスに起因することが病理組織学的に証明された。ビタミンDアナログの注入、PTHの低下に伴い、線維性骨炎像は軽減し、この改善は骨形態計測値からも確認された。しかし、いったん形成された異所性血管石灰化には、PTHの低下、線維性骨炎の改善にもかかわらず有意な軽減は認められなかった。以上から、腎不全に伴うCa/P代謝異常は2次性副甲状腺機能亢進症を介して線維性骨炎に代表される腎性骨異栄養症と同時に異所性血管石灰化をもたらす。2次性副甲状腺機能亢進症のビタミンDアナログ副甲状腺内直接注入による2次性副甲状腺機能亢進症の修飾は、腎性骨異栄養症には軽減をもたらすものの、異所性血管石灰化には効果を示さず、両者の発症過程と、修飾・治療過程のクロストークは異なる可能性が示された。これらから、次年度では腎不全に伴う副甲状腺機能低下症モデルにおける異所性血管石灰化と無形成骨発症におけるクロストークと、副甲状腺機能低下症を修飾することによる骨病変、異所性血管石灰化の変化に焦点をあて、検討を進める予定である。
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