1)骨代謝障害と血管石灰化病変のモデルとして、osteoprotegerin(OPG)欠損knock out miceモデルを採用し、正リン食(リン0.6%)と高リン食(リン1.2%)を与え、経口的リン負荷を惹起した。この結果、OPG欠損miceではリン負荷による血中FGF-23濃度上昇反応の抑制が明らかになり、骨芽細胞由来のOPGと骨組織が主として産生するFibroblast Growth Factor-23(FGF-23)の産生、分泌にOPGが関与していることが判明した。 2)腎障害に伴い進展するリン代謝異常として、二次性副甲状腺機能亢進症モデルを採用確立した。5/6腎摘ラットに高リン食によるリン過剰負荷を行い副甲状腺機能の亢進を誘導し解析した。この結果、リン負荷によるFGF-23産生は主として脾臓と骨組織で行われる事が判明した。さらに骨組織によるFGF-23産生亢進は、二次性副甲状腺機能亢進症モデルラットに副甲状腺摘出を行う事・骨の器官培養を行う事より、副甲状腺ホルモンでなく活性型ビタミンDである1、25(OH)2D3によって誘導される事が明らかとなった。 3)リン過剰を感受する機構の直接効果を検討するため、ラット血管器官培養法を試み成功し手法として確立した。このラット大動脈器官培養のin vitro条件に高リンと正リンmediumにて培養を行う事で、血管中膜の異所性石灰化が高リン条件化で促進される事を観察した。さらにこの機序にはナトリウムーリン共輸送体(Pit-1)が関与し、アポトーシスを伴う事が判明した。今後は培養条件等を変化させる事により、より詳細な血管石灰化機序の解析を試みる予定である。
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