研究課題
私たちは、初年度、アンジオテンシンII1型(AT1)受容体における自然活性の存在やインバースアゴニスト[Inverse agonist(IA)]の存在をin vitroにおいて証明し、さらに次年度は、このIA作用をもつAT1受容体ブロッカー(ARB)は、無いARBよりも降圧非依存性の腎障害改善作用の有ることを動物モデルにて証明した。本年度は、IAの有るARBと無いARBの分子メカニズムの違いについて検討した。ARBは、IAの有るオルメサルタンと無いオルメサルタン類似化合物を使用した。この2つのARBは、共通した構造としてビフェニールテトラゾール基とイミダゾール基を持つ。両者の僅かな化学構造の違いとして、類似化合物は、オルメサルタンのカルボキシル基(-COOH)の代わりにカルバモイル基(-CONH_2)を有している。オルメサルタンは、類似化合物よりも強力なインバースアゴニズム、非競合性と非解離性を有していた。さらに、そのARBの僅かに異なる化学構造部位が、特異的にAT1受容体の異なるアミノ酸を認識していた。また、IAの有るバルサルタンと弱いロサルタンを使用した検討も行ったところ、AT1受容体の異なるアミノ酸を認識し、バルサルタンの認識部位は、同様にIAの有るオルメサルタンとは異なっていた。さらに、このIA作用に関して、伸展刺激によるAT1受容体活性化に対するARBのカンデサルタンのインバースアゴニズムの分子メカニズムについても報告した。
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Clin Exp Hypertens (印刷中)
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