研究概要 |
1.アポE遺伝子導入実験における病理所見:アポEノックアウトマウスに、ヒトApoE-Sendai組込ベクターを導入し病理組織像を検討した。光顕所見では、メサンギウム基質域の一部が空胞状となっており、リポ蛋白血栓による糸球体毛細管管腔の拡大も観察された。 2.マウス血漿リポ蛋白分析における超遠心法とキャピラリー等速電気泳動(CITP)法の比較:プール血漿における超遠心法の結果、超遠心法ではマウスの血漿にはLDL分画がほとんど存在していないことが明らかになった。アポEノックアウトマウスの血漿の各分画を超遠心法で分離し、CITP法で解析した結果、VLDLはCITP法におけるピーク4,5,6に、IDLはピーク5に一致した。LDLはピーク6,7,8に含まれるが、アポEノックアウトマウスではそのピークが低下しており、LDLがほとんど存在しなかった。 3.アポE遺伝子導入実験におけるリポ蛋白分析:アポEノックアウトマウスにヒトApoE-Sendaiをはじめ、各種ヒトアポE組込ベクターを導入し、血漿のリポ蛋白分析をCITP法で分析した。その結果、アポEノックアウトマウスにおいて目立ったピーク4,5,6は著しく減少したが、ApoE-Sendai導入マウスでは、ピーク6が高値のままであり、超遠心法の結果と比較すると、この部分のVLLDL/LDL分画が、1で記したリポ蛋白糸球体症類似の腎組織障害と関係深いことが示された。次年度には、この部分のリポ蛋白の詳細をさらに検討する予定である。
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