研究概要 |
平成18年度に行った,キャピラリー等速電気泳動法(cITP法)と超遠心法の比較により,マウスにおけるcITP法の各ピークと対応するリポ蛋白を明らかにし,cITP法によるポ蛋白解析のマウスへの応用を可能といた。そこて今年度は,apoE欠損マウスにapoE-Sendai,E2,E3,E4のそれぞれを組み込んだアデノウイルスベクターを導入し,それぞれの群のcITP法によるリポ蛋白解析の結果と,腎組織所見を比較,検討した。 1)各種apoE遺伝子導入マウスのcITP法によるリポ蛋白解析所見と腎組織所見の検討:これらのマウスのcITP法によるリポ蛋白解析では,昨年度の実験結果と同様にApoE-Sendai導入群従にのみピーク6の高値がみられた一方,他群ではピコーク7が高値であった(ピーク6および7は,超遠心法ではどちらもVLDL/LDL分画に属する)メサンぎウム領域の空胞変性やリポ蛋白血栓によ糸球体毛細管管腔の拡大といったLPG様の腎組織変化は,ApoE-Sendai導入群では76.9%のマウスにおいてみられた一方で,apoE2およびapoE3導入群ではこれらの変化示すものはなく,apoE4導入群では10%にみられるのみであった。(ANPVAP<0.001) 2)ApoE-Sendai導入群でLPG様病変がみられたマウスの重症度は,メサンギウムの空胞化,リポ蛋白沈着のみの「軽度」が46.1%,リポ蛋白血栓を少量認める「中等度」が25.0%,リポ蛋白血栓を多量に認める「高度」が殖5.8%であった。一部では,リポ蛋白がメサンギウム領域から毛細管管腔内に移行している様な所見も認めた。リポ蛋白のメサンギウムへの沈着は,ヒトLPGにおいても初期変化であると報告されている。LPGの発症初期にはりポ蛋白がメサンギウム領域に沈着し,進行に伴い糸球体管腔内に陥頓するという機序推測された。 以上の研究成果より,マウスのリポ蛋白の精密分析法としてcITP実用化し,LPGマウスモデル応用することにより,cITP法でピーク6に分画される通常異なった電気移動度VLDL/LDLが,LPGの発症に関連することが明らかとなった。
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