研究課題/領域番号 |
18590917
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
斉藤 喬雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10125552)
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研究分担者 |
瀬川 波子 福岡大学, 医学部, 助教 (80352251)
兼岡 秀俊 福岡大学, 医学部, 教授 (20161169)
小河原 悟 福岡大学, 医学部, 講師 (40233407)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | リポ蛋白糸球体症 / リポ蛋白 / ApoE-Sendai / 超遠心法 / キャピラリー等速電気泳動法 / apoE欠損マウス |
研究概要 |
1.キャピラリー等速電気泳動法(cITP法)によるマウスのリポ蛋白解析の確立:apoE欠損マウスのプール血漿を各リポ蛋白の比重で超遠心法により分画し、分画された血漿のリポ蛋白をcITP法で解析した。その結果、マウスにおいては、ピーク1〜3がHDL、ピーク4がCM/VLDL、ピーク5がVLDL/IDL、ピーク6〜8がVLDL/LDLと、それぞれ対応することを明らかにした。これによってcITP法によるリポ蛋白解析のマウスへの応用が可能となった。 2.各種apoE導入apoE欠損マウスのcITP法によるリポ蛋白解析と腎病理組織像の比較:apoE欠損マウスにApoE-Sendai、E2、E3、E4のそれぞれを組み込んだアデノウイルスベクターを導入し、それぞれの群のcITP法によるリポ蛋白解析の結果と、腎組織所見を比較・検討した。リポ蛋白解析では、ApoE-Sendai導入群にのみピーク6の高値がみられた一方、他群ではピーク7が高値であった。また、腎組織の比較では、リポ蛋白糸球体症(LPG)様の腎組織変化はピーク6が高値を示したApoE-Sendai導入群において76.9%にみられた一方で、ピーク7が高値をとったapoE2、E3、E4導入群ではほとんどみられなかった(ANOVA p<0.001)。 3.ApoE-Sendai導入マウスにおけるLPG病変の重症度:ApoE-Sendai導入群のLPG重症度は、メサンギウムの空胞化・リポ蛋白沈着のみの「軽度」が46.1%、リポ蛋白血栓を少量認める「中等度」が25.0%、リポ蛋白血栓を多量に認める「高度」が5.8%であった。一部にリポ蛋白がメサンギウム領域から毛細管管腔内に移行している所見を認め、LPGでは発症初期にリポ蛋白がメサンギウム領域に沈着し、進行に伴い糸球体管腔内に陥頓する機序が推測された。 以上の研究成果から、cITP法がマウスのリポ蛋自の精密分析法として有用であること、cITP法でピーク6に分画される電気移動度の異なったVLDL/LDLとLPG発症の間に関連があることを、それぞれ明らかにした。
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