研究課題
基盤研究(C)
小児のステロイド感受性ネフローゼ症候群では、しばしば兄弟例などの家族内発症を認めることから、その発症に何らかの遺伝的要因が関与していると考えられる。実際、ヨーロッパの大規模調査研究によると、微小変化型ネフローゼ症候群の3.4%が家族性であると報告されている。本研究では、家族性ステロイド感受性ネフローゼ症候群を対象に、遺伝学的手法を用いて疾患遺伝子探査を行い、小児慢性腎疾患で最も重要な疾患の病因遺伝子の同定を試み、その分子の実体を明らかにすることを目的とする。本年度は、微小変化型ネフローゼ症候群の特殊型である、再発、自然寛解を繰り返す兄妹例の遺伝的解析を行った。マイクロサテライトマーカーを用いた家系解析から、NPHS1(ネフリン)への連鎖が疑われ、ゲノムDNAシークエンスを解析したところ、この兄妹はNPHS1のミスセンス変異の複合型ヘテロ接合体であることが判明した。次に、常染色体劣性遺伝に合致するステロイド感受性ネフローゼ症候群家系を集積し、その臨床的特徴を解析した。日本全国から集積した、一卵性双生児の2症例を含む14家系28患児を対象とした。いずれの家系も、両親や他の兄弟に蛋白尿の既往はなく劣性遺伝と考えられた発症年齢の平均は4.3歳(1-15歳)で90%の症例は6歳までに発症していた。罹患兄弟間の発症時期のずれは平均2.9年以内であったが、蛋白尿の程度、再発頻度、期間は必ずしも一致しなかった。再発頻度は低年齢で高率で、年齢とともに減少していく傾向にあった。頻回再発は8患児(29%)に認めた。また、13患児(46%)にアレルギー疾患を認めた。これらの臨床所見は、これまで報告されている非家族性のステロイド感受性ネフローゼ症候群と同様であった。
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