研究課題/領域番号 |
18590921
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
道上 敏美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 環境影響部門, 部長 (00301804)
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研究分担者 |
近藤 宏樹 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 環境影響部門, 主任研究員 (10373515)
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キーワード | FGF23 / klotho / 無機リン酸 / ERK1 / 2 / ナトリウム・リン酸共輸送担体 |
研究概要 |
FGF23はFGF受容体及びklothoと複合体を形成することにより腎臓からのリン酸排泄量を増加させる。しかしながら、細胞外液中のリン酸濃度がFGF23の作用に及ぼす影響については検討されていなかった。そこで、ヒト胎児腎尿細管由来の細胞株HEK293細胞を用いて、細胞外のリン酸濃度がFGF23シグナルに及ぼす影響を検討した。HEK293細胞はklothoをわずかに発現しており、FGF23の機能獲得型変異体である。FGF23[R179Q] の添加によりERK1/2のリン酸化、early growth response-1 (Egr-1) 遺伝子の発現誘導を示した。この、FGF23[R179Q] に対する反応性は、klothoを過剰発現させることにより増強した。次に、HEK293細胞に高濃度(4の細胞外無機リン酸刺激を与えたところ、ERK1/2のリン酸化、Egr-1の発現誘導が観察され、その経時的変化はFGF23[R179Q] を添加した場合と類似していた。この細胞外無機リン酸刺激により誘導されるERK1/2のリン酸化、Egr-1の発現誘導は、ナトリウム・リン酸共輸送担体に対する阻害剤であるphosphonoformic acid (PFA) を添加することにより解除された。さらに、HEK293細胞に高濃度リン酸刺激とFGF23[R179Q] 刺激を同時に与えたところ、ERK1/2のリン酸化、Egr-1の発現誘導は相加的に増強した。このことから、細胞外リン酸濃度の変化によりひきおこされるシグナルと、FGF23シグナルにおいて、その下流のネットワークに共通性が存在することが示唆された。
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