研究課題/領域番号 |
18590923
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 一男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70280873)
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研究分担者 |
中島 一郎 東北大学, 病院, 助教 (50333810)
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
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キーワード | 多発性硬化症 / 脱髄疾患 / 免疫グロブリン / 樹状細胞 |
研究概要 |
多発性硬化症(MS)は、代表的な中枢神経の炎症性脱髄疾患である。免疫グロブリン静注射療法(IVIG)はMSの再発抑制に有効との報告がある。我々は、MSの免疫病態において再発に関与していると考えられる樹状細胞(DC)に対する作用について検討するため、末梢血単球からモノカインを用いて樹状細胞を分化させる系で、IVIGで用いられるIgGの影響について検討した。 1.昨年の健常人由来単球における検討に引き続きMS患者由来単球を用いて検討したところ、やはりIgGは未熟DC(imDC)のマーカーであるCDla、T細胞活性化に関わるCD40及びCD80の発現を部分的に抑制した。したがって、T細胞の活性化を部分的に抑制するものと考えられた。両群間には有意差はみられなかった。 2.一方、成熟DC(mDC)のマーカーであるCD83の発現を、逆に増強した。これに関してF(ab')_2を用いて同様の実験を行ったが、CD83の発現増強がみられた。したがって、このIgGの作用はFcγRを介してはいないことが示唆された。 3.IgGによるCD86の抑制効果はF(ab')_2を用いると著明に減弱した。 4.健常人及びMS患者において、IgGはmDCが血液脳関門(BBB)を通過するために必要なホーミング分子であるCD49d(VLA-4のα4-インテグリン)の発現を顕著に抑制した。これをF(ab')_2を用いて解析したところ、やはり抑制効果がみられたが、その程度は個人により差がみられた。 以上の結果から、IgGのDCに対する作用はFcγRを介する機序のみでは説明できないことが示唆された。
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