研究課題
基盤研究(C)
本研究ではまずAPOEノックアウト(APOE-KO)マウス(三重大学成田正明博士よりご供与)を用いて過酸化脂質(TBARS)を測定した。マウスの野生型APOEはヒトAPOE4に相当するものと考えられているが、APOE-KOマウスでは野生型よりも過酸化脂質が有意に増加しており、これはAPOEの抗酸化作用を示唆するものと考えられた。APOE-KO々ウスにおいて有意な酸化ストレスの亢進が認めちれた点より、APOEが抗酸化作用を有する可能性が示唆された。次にAPOE-E4とAPOE-E3の比較を行なうために、マウスのAPOEをヒトのAPOEの各型で置き換えた(ノックイン)マウス(理化学研究所貫名信行博士、三菱生命科学研究所藤田忍博士よりご供与)を用いて、各種酸化ストレスのマーカーを比較検討した。全脳におけるTBARSについては両者に有意差は認められなかったが、Aβの生成部位と考えられている低密度膜画分(LDM)を精製して比較すると、有意差には至らなかったがAPOE-E4においてAPOE-E3よりもTBARSの増加傾向が認められた。更に酸化ストレスを生じると考えられる両側総頚動脈をナイロン糸で縛った慢性脳虚血ラット(BCAO)を用いて、免疫組織化学的および生化学的にAβの発現を検討し、低灌流による酸化ストレスがBACE1に与える影響も解析した。方法としては、慢性低灌流の効果を解析するために、生後6週の雄性Wistarラットを用い、両側総頚動脈を永久結紮するモデルを作製し(BCAO群)、結紮を行わない群を対照群とした。免疫組織学およびEL工SAを用いてAβ分子種を検討し、BACElについても分析した。結果は、BCAOラットにおいて病理組織学的に皮質領域にて神経細胞の脱落および空胞変性が認められた。また、皮質領域においてAbeta40、Abeta42の沈着を認め、あわせて血管周囲にIgGの組織内への浸透を認めた。BCAO群では一部にBACE1の増加が認められた。また、ELISAでは、皮質においてAbeta(1-40)はBCAO群がコントロール群に対して、有意に高値であった。Abeta(1-42)も同様に、BCAO群にて有意に高値であった。一方、皮質下組織においては、どちらも、有意差は認められなかった。BACE1に関しても免疫組織化学にてBCAO群で染色性の増加が認められた。従って、慢性脳虚血によりAbetaが沈着することは、ADの脳血管障害による影響との関連について示唆に富むものと考えられた。虚血による酸化ストレスによりBACEIが誘導される可能性も示唆された。今後、APOE-E4→酸化ストレスに対する脆弱性→酸化ストレス亢進→BACE1活性亢進→Aβ産生・沈着促進という作業仮説を支持する知見を更に究明していく予定である。
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