研究概要 |
1.パーキンソン病(P病)の中脳の検索: 18例のP病と8例の対照の剖検例の中脳をα-synucleinと抗Golgi装置(GA)に対する抗体を用いて免疫組織学的に検討した結果,対照例での中脳メラニン含有細胞ではGAの微細化はほとんどみられなかったが,P病ではLewy小体を有する神経細胞では5%に,Lewy小体の前駆構造物であるpale bodyを有する神経細胞では19%に,これらの封入体を有さない神経細胞では3%にGAの微細化がみられた.これらの結果からP病に特徴的な封入体であるLewy小体が形成されると神経毒性は減少する可能性が示唆された. 2.筋萎縮性側索硬化症(ALS)の検索: (1)ALSに特徴的な病理所見である運動神経細胞内にみられるBunina小体の構成成分は不明であるが,今回抗trasferrin抗体でBunina小体が陽性に免疫染色されることを初めて明らかにした. (2)ALSの脊髄をユビキチン結合蛋白であるp62に対する抗体を用いて検索した結果,skein-like封入体,Lewy小体様封入体.好塩基性封入体が陽性であり,ALSでのこれらの封入体形成にp62が関与している可能性を報告した. (3)57例の弧発性ALSと12例の家族性ALSのcystatin C遺伝子の検索を行ったが,cystatin CとALSとの間に直接的な遺伝的連鎖は証明出来なかった. (4)認知症を伴うALSの自験例に加えて本邦例を文献的に収集しその特徴をまとめて報告した. 3.その他の神経変性疾患の検討: Creutzfeld-Jakob病,ヒト下オリーブ核肥大,フィンランド型家族性アミロイドポリニューロパチーなどを検索し報告した.
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