培養ミクログリアに対するミッドカインのサイトカイン、ケモカイン、神経栄養因子、一酸化窒素産生、および、抗原提示関連分子(MHC-class II、CD40、B7-1、B7-2)の発現に及ぼす作用について検討したところ有意な変化は認められなかった。しかしながら、MKノックアウトマウスに実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導し検討を加えたところMK抑制によりCD4^+D25^+Foxp3^+制御性T細胞(Treg)の増加を介してEAEが抑制されることが明らかとなった。さらに、多発性硬化症の新規治療法開発を目指して、抗MK中和抗体及び抗MK RNA aptamerを用いたMK阻害によるEAE抑制効果について検討を行ったところ、中和抗体、aptamerともに、臨床症状を有意に改善した。 In vitroでの検討においても、抗MK中和抗体投与群及び抗MK RNA aptamer投与群では、濃度依存的にTregを増加させた。これは、MK抑制によりTregが誘導され、自己反応性T細胞の免疫反応の抑制及び中枢神経系の炎症細胞浸潤の抑制の結果、EAE発症が抑制されるものと考えられた。中和抗体及びRNA aptamerを用いてMK抑制を標的とすることは、多発性硬化症をはじめとした自己免疫疾患に対する新たな治療法となりうることが明らかとなった。
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