研究概要 |
本研究において、ミッドカインの自己免疫性脳脊髄炎(EAE)発現における作用の解明を行った。これまでの研究で、ミッドカインが、自己免疫を調節しているCD4, CD25陽性調節性T細胞の機能を抑制することによりEAE発症に強く関与することを明らかにした。さらにRNAアプタマーを用いたミッドカイン機能の抑制はEAEの発症抑制に有用であることを示した。 本年度は、ミッドカインがT細胞機能制御作用を持つ調節性樹状細胞に対してもその機能を抑制していることを明らかにした。さらに、ミッドカインRNAアプタマーが調節性樹状細胞の機能を回復することが確かめられた。また、炎症性脱髄における脳脊髄血管内皮細胞の傷害においてIL-25が低下することが明らかとなり、この障害に対するミッドカインRNAアプタマーの有用性も確かめられた。脳脊髄血管内皮細胞傷害は、EAE病初期より認められることからミッドカインRNAアプタマーの早期投与は、炎症性脱髄疾患の早期治療薬として有用であることが示唆された。アストロサイト、ミクログリア等のグリア細胞に対するミッドカインの関与は軽微であった。これらの成果を踏まえ、ミッドカインRNAアプタマーの多発性硬化症への治験も2010年に予定されており、多発性硬化症の新たな治療薬として実用化に向けて進捗している。
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